2022年11月3日発行 西の風新聞掲載
前回は、「セロトニン」というホルモンが心身の健康に必要不可欠であり、その9割が腸で作られているため、善玉菌を生き生きさせて良好な腸内環境を整えることが大切であるとお伝えしました。今回は、善玉菌の一つ『酪酸菌』についてお話していきます。
『酪酸菌(らくさん菌)』
聴きなじみの無い菌だと思いますが、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」とともに腸内環境にとても良い影響を及ぼすとされ、最近メディアでも取り上げられています。
「酪酸菌」は芽胞というカプセルに包まれているため、胃酸に負けずに生きて腸まで届き、野菜や果物、海藻類などの食物繊維を発酵・分解して「酪酸」を作ります。
酪酸は腸内を弱酸性にし、悪玉菌の発育抑制と善玉菌が住みやすい環境を整えます。また、カルシウムやマグネシウムなどミネラルの吸収性を高めたり、腸を動かすエネルギーとなってお通じを改善するなど、腸内環境改善のカギを握っていると言っても過言ではありません。
『健康な100歳』
京都の京丹後地域は、健康で自立した生活を実現している「百寿者」が多いことで知られています。
その背景には、京丹後は少し前までコンビニもなく、その土地でその時期に収穫されたものを食べるという昔ながらの食生活が受け継がれてきたことが大きな要因と考えられています。
理化学研究所と京都府立医科大学が共同で行った研究によると、京丹後に住む高齢者の腸内には酪酸菌が多いことがわかり、健康長寿との関連が深いとされています。
『和食の力』
地域の食材を使い、旬という季節感を大切にした食文化には、善玉菌を喜ばせ腸内環境を改善し、日本が世界的な長寿国となった理由がありました。
日本で江戸時代から食べられている『ぬか漬け』には酪酸菌は含まれており、日本人の腸内には欧米人に比べ酪酸菌が多く住み着いていると言われています。
大根がおいしい季節、ぬか漬けとお味噌汁と玄米という最高の朝ごはんはいかがでしょうか。
皆様の健康長寿のヒントになりましたら幸いです。